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FIT & GAP分析による見積

ERP(基幹系情報システム)や販売管理の導入や、既存システムや自社開発(EXCELやACCESS)などで作成したシステムの載せ替えを検討する際、パッケージを前提に検討する場合に、使われる手法の一つとして用いられるのが、フィット&ギャップ分析と言われるものです。

クラウド環境の発展により、さまざまなパッケージがインターネット上で利用できるようになっています。また、パッケージ製品も時代のニーズに合わせて、より使いやすく低価格での提供がされるようになってきました。

自社にあったシステムを一から新規で構築する、またはシステム改修の場合は、「要件定義」や「RFP(提案依頼書)」を基に見積を行いますが、パッケージの導入を前提に検討する場合には、自社の業務との適合性を見ていきます。
つまり、どの製品がより自社に合うのか、仮にカスタマイズ(パッケージやオープンソースの基本機能を元に自社に必要な機能を追加または既存の機能を修正)するにしても、どの程度の費用がかかるのかを検討します。

フィット&ギャップと要件定義の違い

要件定義は、自社の業務に合わせて、必要な機能や仕組みなどを定義し具体的な手法に落とし込んでいきます。
これに対して、フィット&ギャップ分析は、導入を検討しているパッケージやオープンソースの機能に対して、自社の運用や業務内容と、どこが合うのか(フィット)、どこが合わないのか(ギャップ)を分析する作業になります。

パッケージを活用するメリット

費用を抑える

パッケージを基本に導入する目的としては、開発費用を抑え、スピーディに導入できる点が一番のメリットになります。
おおよその業務が、パッケージ標準で運用できる場合は問題ありませんが、仮にギャップ(不適合)が大きすぎると、カスタマイズに費用がかかりすぎ、かえって一から開発した方が安くできたり、運用が煩雑になってしまう場合もあります。
この点については、分析の結果から判断する必要があります。

標準化できる

例えば、新規事業への参入などの場合、自社にその業務に対するノウハウがないため、パッケージを活用して業務を遂行する方法をとる場合があります。ある程度、標準化した流れができていますから、業務の定着が早くできるメリットがあります。

ただし、扱う商品や販売形態などにより運用の差が出る場合がありますので、分析はしっかりとすべきです。

フィット&ギャップ分析の進め方

ヒアリングシートの作成

パッケージの選定にあたっては、事前に必要な要件を洗い出しヒアリング用のシートを用意します。

販売管理を例にとって、ヒアリングシートの一例を記載します。

見積機能
・過去の見積を流用した簡易的な見積作成機能がある
・見積作成時に粗利率を参照できる機能がある
・取引先に応じて、商品ごとの見積金額を自動で変えることができる
請求機能
・販売先により、15日、20日、月末の3種類の締日に対応できる
・未収金の金額が自動で当月請求に加算できる
・請求一覧がCSVデータで出力できる
・販売先ごとに振込口座の情報を設定できる
ヒアリングシートの記載

こうして作成した自社のヒアリングシートを元に、選定するパッケージ業者にデモを行ってもらいながら、機能内容を確認していきます。その結果は、以下のように記載していきます。

見積機能
・過去の見積を流用した簡易的な見積作成機能がある コピー機能で実現可能
・見積作成時に粗利率を参照できる機能がある 粗利率の参照は見積登録後、一覧画面で可能
・取引先に応じて、商品ごとの見積金額を自動で変えることができる × 商品金額は1つしか持てない

フィットした部分は○、ギャップの部分で代替案や運用などでカバーできるものは△、機能がない場合に×などのマークを付けます。また、備考としてギャップの内容やなどを記載しておきます。
このように、それぞれの要望する機能に対しての適合状況を整理していきます。
仮に、1例をあげましたが、できれば数社のパッケージを検討し、比較すると良いです。

ギャップ部分の検討

作成したヒアリングシートをもとに、ギャップ部分について、要求として必須事項か、代替案で要件が満たせるか、などを検討します。また、この際に、運用を変えることで対応可能かどうかも検討しておきます。

機能が不足している部分については、「追加開発」と処理やフォーマットなどに違いがある場合は、改修作成したヒアリングシートをもとに、ギャップ部分について、要求として必須事項か、代替案で要件が満たせるか、などを検討します。また、この際に、運用を変えることで対応可能かどうかも検討しておきます。

見積依頼

ヒアリングシートの内容を元に、開発業者に見積を依頼します。
その際に、ヒアリングシートをお見せして、専門家の目で確認いただきます。
できれば、打合せの場を決めて、質疑応答などで、記載内容の確認と業者からの説明をいただきます。
カタログにはなかったけれど追加されている機能や、今後バージョンアップで対応予定の内容などの情報をお聞きすることができると思います。

確認しておくべきこと

  • 保守体制
  • バージョンアップや機能追加に対しての対応
  • 版権
  • データ移行
保守体制

パッケージをカスタマイズした場合、保守に関しても別契約になることが多いです。
保守体制、保守費用なども確認しておきます。

バージョンアップや機能追加に対しての対応

多くの場合、パッケージをカスタマイズすると、パッケージに新しく機能が追加された場合、自社用にカスタマイズされたアプリには適用されない場合が多くあります。
これについては、契約事項になりますので、開発業者に確認してください。

版権

また、自社開発の場合、ソフトウェアの版権は依頼企業になる場合が多いですが、パッケージの場合、版権は開発業者となるケースがほとんどです。
こちらも契約内容になりますので、事前に確認してください。

データ移行

既存システムが稼働している場合、必要な作業として考えられるのがデータ移行です。
移行ツールがパッケージに整備されている場合は、それが使えるのかの検討し、もし無ければ、移行ツールなどを制作する必要があります。また、実際の移行作業を業者にお願いする場合は、その費用も見積としてお願いする必要があります。

判定

適合度合や見積内容を検討し、パッケージ導入の可否を判定します。
経験値からですが、フィット(適合)率が6割を下回るようなら、新規での開発も検討してみるべきと思います。
また、ギャップ部分で改修すべきところ、新規に追加する機能が根幹である場合や、難易度が高い場合なども、選定するパッケージを見直すか、新規開発についても、今一度検討した方が良いと思われます。

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田邉弘美(たなべひろみ)

メーカーのプログラマーを経て27歳で独立起業。数々多くの企業のシステム構築を手掛けてきました。得意な分野は基幹システムや営業支援、顧客管理など社内業務のシステム構築。プロジェクトでは、主にお客様の要望整理や業務改善などのコンサル部分を担当。私の無理難題も難なくこなす頼もしいスタッフ(技術者)に囲まれ、奮闘の毎日を送っています。

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